標高1,400mの「夜の授業」〜白馬で味わう星空観察と花火の特等席

この夏、白馬村で期間限定開催されている「標高約1,400mで星空観察!ナイトゴンドラ&星空観察会」に参加してきました。いわゆる「天空の天体ショー」と呼ばれているイベントです。名前だけ聞くとファミリー向けのアクティビティのようですが、実際に参加してみると、大人だけでも楽しめるものでした。

ゴンドラで「日常」から切り離される時間

会場は白馬八方尾根スキー場の中腹、標高約1,400mの「うさぎ平テラス」。白馬八方尾根の山麓にある「八方ゴンドラリフト『アダム』」の八方駅からゴンドラに乗り、約8分ほどでうさぎ平駅に到着します。 
ゴンドラが動き出すと、眼下には白馬村の街の灯りが少しずつ小さくなり、代わりに山の稜線が黒い影となって迫ってきます。日帰り温泉や居酒屋が並ぶエリアから、ほんの数分で「別世界」に切り替わる感覚は、何度味わっても不思議です。

料金はシーズンや販売窓口によって多少変動がありますが、直近の案内では大人(中学生以上)が2,400〜2,600円前後、小人が1,600円ほど。ゴンドラ往復とガイド付きの星空観察会がセットになっています。 
「夜のゴンドラ+専門家の解説付きの星空観察」と考えると、納得感のある価格帯です。

 

うさぎ平で始まる「夜の授業」の最初は曇り、そして……

山頂駅に着くと、そこは標高約1,400mのうさぎ平テラス。昼間はビーチチェアやカフェが並ぶ、開放的なテラスですが、夜は照明が落とされ、足元だけがほのかにライトアップされた、静かな空間に変わります。 

この日のスケジュールは、おおよそ次のような流れでした。
・19:00〜19:30 八方駅で受付、ゴンドラでうさぎ平へ移動
・20:00前後 屋外で星空解説&観察会
・その後 自由観察、順次ゴンドラで下山 

ただ、この日のコンディション(8/14)は、正直に言えば、最初から完璧というわけではありませんでした。
ガイドさんの説明が始まったころ、空にはまだ厚めの雲がかかっていて、星はところどころ「かろうじて見える」程度。せっかく標高1,400mまで上がってきたのだから、正直なところ、少しだけ残念な気持ちもよぎります。

それでも、専門の講師の方が、星座の位置や夏の星空の特徴、星の距離の話などを、スライドやレーザーポインターを使って丁寧に解説してくれるので、「これはこれで夜の理科の授業だ」と思いながら聞いていました。 

双眼鏡で見る星の「明るさ」に驚く

このイベントの良いところは、レンタルの双眼鏡が料金に含まれている点です。会場ではKENKO社の双眼鏡や天体望遠鏡が用意されていて、スタッフが使い方をレクチャーしてくれます。 

雲が少しずつ流れて、ところどころに星のあいた“窓”が見え始めたタイミングで双眼鏡を覗くと、その明るさに驚かされます。肉眼では「一等星かな?」くらいにしか見えない星が、双眼鏡越しだとしっかりした光の粒になり、その周りにも小さな星がびっしりと散りばめられているのがわかります。

やがて、空の雲がすっと引いていく時間帯が訪れました。夏の大三角形――こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ――が、くっきりと夜空に浮かび上がります。 
解説を聞きながら、「あれがベガ、こっちがアルタイル」と指差して確認している自分に、少しだけ少年っぽさが戻ってきたような、不思議な感覚になりました。

都会では、星空を「背景」として眺めることはあっても、「一つ一つの星の位置を意識して見る」ことはなかなかありません。わざわざゴンドラに乗ってここまで上がってくるという“手間”も含めて、星と向き合う時間そのものがぜいたくだと感じます。

 

観察会の締めくくりに待っていた「花火を見下ろす」体験

そして、この日の締めくくりには、もうひとつのサプライズがありました。
ちょうど8月14日は、白馬村の夏祭り「第50回八方温泉夏祭り」の開催日。 
八方文化会館前の特設会場で太鼓や盆踊りが行われ、最後には打ち上げ花火が上がるという、地元のお祭りです。

通常であれば、ビール片手に屋台のやきとりをつまみながら、下から見上げる花火を楽しむところでしょう。ところが今回は、その花火を「上から」眺めることになりました。

うさぎ平からは、白馬村の夜景が一望できます。街の灯りの向こうに、ぽん、ぽん、と小さく開く花火。その光が、わずかに遅れて届く音とともに、山の静けさの中に溶けていきます。 

花火を見上げるのではなく、見下ろす――この感覚は、なかなか言葉にしづらい不思議さがありました。

当日の様子は、記事の終わりに添えた動画でも少しだけ伝わると思います。
もうひとつの動画は、はくちょう座の方向を眺めながら撮影した白馬村の夜景。夜空と街の灯りのバランスが、なんとも言えず大人っぽい雰囲気でした。